移住から1年

エッセイ・コラム

兵庫県内での移住により、田園地帯の現在地に居を定めてちょうど1年。
思えばあっという間の1年でした。飼い猫の想像以上の抵抗に遭って6月末の引っ越しに失敗し、猫が落ち着きを取り戻すまで10日間延期し、困り果てたうえに獣医さんに紹介してもらった猫の引っ越しサポート専門の会社に頼んで思いの外スムーズにようやく実現した移住でした。
暑さは日に日に増すなかで、段ボールを解いては予定した場所へと配置し、足りないものは買いに走りと、お決まりのあれこれに追われてひと月。転居に伴う各種届にも結構煩わされ、新天地での新聞の購読もひと月遅れ、インターネット環境のための工事もずいぶん日数が経ってからであったので、「情報難民」での新居生活の始まりでした。
少し落ち着いた頃には、自治会と旧村の会(農会)への加入の誘いを受けました。私は家庭菜園の延長程度は視野に入れてましたが、農業を本格的にするつもりはなく、自治会へは加入しましたが、納会には入らず。ただ、清掃など寺社関係の共同奉仕活動は旧村単位で行なっているため、そちらには入れてもらうこととしました。(我が家には仏壇はなく、代々神道を奉じてきましたので、氏神にのみ関わらせていただくという、選択的な希望を受け入れていただきました。)
それやこれやを経験して今思うことの一つは、田園地帯であっても村落共同体的な規制(慣習や決まり)による縛りは意外に強くない、ということです。自治会や寺社関係の会への入会は意思を尊重して行われます。村落が村落として存在するのではなく、新たに移り住んでくる人はそれまでの別の生き方を持ち込んでくるわけですから、村落共同体の一員とは言えません。地域の自治組織が二重の構造をとらさるをえない理由です。新参者の我が家は暖かく迎え入れられたのだと感じます。
もう一つ思ったことは、こうした自治組織で対処すべきことが非常に多い、ということです。自治会では、定例会への出席、市から配布される文書等の受け取り、公民館の清掃当番、地域一斉の清掃、防災訓練、地域合同運動会、人権問題研修などなど。加えて赤い羽根募金や歳末助け合いへの協力も自治会単位で行われます。農会の皆さんは、これとは別にとんど焼き、寺社の行事や清掃活動への参加、シカやイノシシから畑を守るための山裾のフェンス点検などもしておられます。あたり前と言えばそれまでですが、地域の自治会や農会を通すことでそれら全てが可視化されるのです。お世話してくださっている自治会・農会役員の皆さんの献身には頭が下がります。
高齢化する地域にあって、こうした活動の担い手が少なくなり、活動がいつまで続けられるのか、その転機を迎えているように思えます。市は移住者を呼び込み、人口の社会増を実現することに躍起ですが、同時に市内の多くの地域における共同的な自治活動をどのように位置づけ再編しつつ持続可能にしていくのかもあわせて問われているように感じます。

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